前回、ギャンブル依存症、とりわけパチンコ依存症の害の一部分を書いてみました。
でも、なぜそこまで害が出ている状況になっても、ギャンブルをやり続けるのでしょうか?
ギャンブル依存症の人を見て、意志が弱い人間だという人がいます。
でも、実は、ギャンブル依存症は、ICD(国際疾病分類)にも書いてある、世界共通のれっきとした病気です。
それでも、ギャンブル依存症は病気じゃない、甘えだと思う人は、頑張ってWHO(世界保健機構)にでも入って、この世界の共通認識を変えていただきたいなと思います。
さて、病気だという説明には根拠があります。
ギャンブル依存症は脳の病気です。
その証明として、例えば、ファンクショナルMRIという脳の血流をみる特殊なMRIがあるのですが、そのMRIにギャンブル依存症の方に入っていただき、パチンコ依存ならパチンコ画像を見せるだけで、脳の血流がブワーっと出てしまうとか。
当然、健常者はパチンコ画像を見たって脳はそういう風に動かないワケです。
あと、動物実験においても、それは証明されています。
例えば、ボタンを押したらエサが出てくる装置があって。スイッチを1回押したら、エサが1回出てくる装置では、動物はスイッチ押しを必要な時だけしかしません。
しかし、5回押したら、1回エサが出てくる装置では、ずっと押し続けるようになっていきます。
そういった動物でも得られる射幸心を刺激し、人を狂わせていくという装置がパチンコなのかもしれません。
あと、ギャンブル依存症となる人の脳内で何がおこっているかというと、ギャンブルで大勝ちをした時、脳の腹側被蓋野(ふくそくひがいや)という場所でドーパミンという脳内物質が出ます。
それを繰り返すことで、脳にギャンブル欲求の回路ができて変化していくと言われています。
さらに
生まれながらに、そのような射幸心を得やすい脳というのがあって。
ドーパミンの受け皿が最初から遺伝的にある人というのがいる
ということも最近の研究でわかってきました。
まあ、ギャンブルに対する感受性が生まれながらにいいんですね。
こういった研究は枚挙にいとまがありません。繰り返しですが、ギャンブル依存症は脳の病気ですよ。
そうやって、体質があって、かつ、ギャンブル刺激を繰り返しあたえていくと、ギャンブルがやめられない脳になってしまいます。
そうなってしまうと、人間の心というのは脳にあるものですから、脳が変化するということは、心を失うということが起きてしまうのです。
ギャンブルによって人の心を失うと、ギャンブルの為に平気で嘘をつく。
ギャンブルを優先して家族を泣かす。
ギャンブルを優先して仕事をサボる、しなくなる。
ギャンブルによって借金を作る。人のお金に、会社のお金に手を出す。ギャンブルを優先して、育児をしなくなる。車中に置き去りにして、子供を死なす。などなど。
およそ、理性的な状態とは言えないこと。人の心を失った所業をするようになります。
持論ですが、ギャンブル依存症において、もっとも恐ろしいのは、借金ではありません。社会的信用を失うことでもありません。家族を失うことでもないです。