すべては抱っこから始まる~愛着障害について~

誰かに傍にいて欲しい。分かって欲しい。抱きしめて欲しい。寂しい…

自分が保てないほどに寂しい。

恐怖に近いような寂しさで苦しんでいる人がいます。

そういった人たちは愛着障害という苦しさを持った人たちなのかもしれません。

 

愛着理論について

愛着障害という言葉は、元々、愛着理論というものからきています。

愛着理論はイギリスの精神科医、ジョン・ボウルビィによって確立された理論です。

子供は一人の養育者と親密な関係を築いていく。それが無ければ、子供は社会的、心理的な問題を抱えるようになっていく。というような考えです。

そもそも、物語の中では何百年も前から親子の愛について語られており。

そんなことは知識として知らずとも、近所のよもやま話にでも出てくるような当たり前の話なのかもしれません。

抱っこ

愛着障害について

愛着障害という病気は小児期の疾患としてはありますが、大人の疾患としてはないので、精神科での診断はつきません。

ですから、精神科や心療内科に行って、自身の愛着の問題について話をしても理解してもらえないことも多々あるようです。

しかし、実際には子供時代の愛着問題を大人になった今でも抱えて苦しんでいるという方はたくさんいます。

 

愛着障害については精神科医である岡田尊司さんが著書「愛着障害~子ども時代を引きずる人々~ (光文社新書)」の中で詳しく書いてあります。

その著書を簡単にまとめると。

・抱っこの重要性

抱っこという原始的な行為は、子供に心理的な影響だけでなく、生理的な影響さえ及ぼす。子供の成長を促す成長ホルモンや神経成長因子、免疫力を高める物質、さらに心の安定に寄与する神経伝達物質の分泌を活発にする

生後半年から1歳半の間に愛着形成がなされていないと、人の心身は健康に成長していきません。

抱っこの重要性が知られていなかったころ、孤児となった子どもが、食欲が低下し、衰弱死することが多かった

などとある。

抱っこをしてもらえなかった孤児は衰弱死をする・・

つまり、冒頭にお伝えしたように、抱っこをあまりされずに育った子供が、大人になり恐怖に近い寂しさを抱えるということは当然のことなのかもしれません。

・愛着スタイルによる対人関係への影響

親をはじめ、他者との関係の中で愛着スタイルは確立されていきます。

愛着スタイルには、安定型、不安型、回避型の3つに分かれます。

愛着スタイルは、パーソナリティーの土台を作り、その人の生き方を気づかないところで支配していきます。

以下、各愛着スタイルの特徴。

<安定型>

自分が愛着し信頼している人が、自分をいつまでも愛し続けてくれることを、当然のように確信している。愛情を失ってしまうとか、嫌われてしまうなどと、思い悩むことがない

<不安型>

終始周囲に気をつかっている人がいる。相手の顔色をうかがったり、馬鹿丁寧にあいさつばかりする。そのとき、少しでも相手の反応が悪かったりすると、嫌われているのではないかと不安になって、肝心の仕事どころではなくなってしまう

<回避型>

距離をおいた人間関係を好む。親しい関係や情緒的な共有を心地よいとは感じず、むしろ重荷に感じやすい。親密さを回避しようとし、心理的にも物理的にも、距離をおこうとする

というように愛着のスタイルが不安型、回避型の人たちは、プライベートでも、仕事関係でも、こと人間関係において大きな損失をもたらすでしょう。

特に、不安型のタイプの人は苦しくて生きることさえ困難となったりする場合もあるでしょう。

・愛着障害が抱える病

子ども時代の愛着の問題は、こんにち社会問題となっているさまざまな困難や障害にかかわっていることが明らかになってきています。

うつ病、不安障害、アルコール・薬物・ギャンブルなどの依存症、摂食障害、境界性パーソナリティ障害といった現代社会を特徴づける精神疾患の多くの要因となっています。また、離婚や家庭の崩壊、虐待やネグレクト、結婚や子どもを持つことの回避、社会に出ることへの拒否、非行や犯罪といったさまざまな問題の背景となっています。

また、近年、爆発的に増えている発達障害についても、

発達の問題の背景には、実は、かなりの割合で愛着の問題が関係しているのである。実際、愛着障害が、発達障害として診断されているケースも多い

とある。

さまざまな精神疾患、家庭問題、社会問題まで、愛着の問題がベースとしてあるのなら、愛着の問題を解決させないと、それら精神疾患や、家庭問題も解決すること難しいでしょう。

膝を抱えた子

 

愛着障害から回復するために

愛着障害から回復する方法は3つあります。

その方法をまとめると。

・親が変わること

愛着の原点は、親との関係で育まれる。~親の中には子どもの問題が表面化したのを機に、自分から子どもへの関わり方を変えようと努力する人がいる。そうして、関係が良い方向に変化することで、他の問題も落ち着いていくというケースも少なくない

愛着の問題に気づけれる親であったり、親自身が自身の問題ととらえ変わる努力をしてくれるなら良いかもしれませんが。なかなか、そういった親ばかリとは限りません。

親の中には、自分の問題として受け入れることができず、言い訳をしたり、頑なに子供に対する否定的な態度を改めれない親もいます。

買えようもない、分かり合えない親子関係があったからこそ、愛着障害になったとも言えます。

・親以外の安全基地をみつけること

愛着障害を克服していく場合、第三者の関りが不可欠と言っていいだろう。その第三者が、親が果たしてくれなかった役割を、一時的に、場合によると数年単位という長いスパンで、肩代わりをすることが必要なのである。そうすることで、子どもは愛着を築き直す体験をし、不安定型愛着を安定型愛着に変えていくのである

しかし、そもそも愛着の問題を抱えた人たちが、親との関係に執着し続け、他人や社会といった安全基地に移行できない人は多いです。

また、回復のために親より信用ができる第三者の存在が不可欠なのであるが、しばしば親と類似したような、安全を保障してくれない人をパートナーに選ぶ人もいて、機能する安全基地を見つけることも困難な人は多いです。

・自分が自分の親になる

愛着障害を克服する究極の方法は、“自分が自分の親になる”ということである

自分自身が自分の親となる。

多くの方にとっては突飛な方法に聞こえるかもしれません。しかし自分の中に小さな自分を作ったり、それを大人の自分が話をきいたり、お世話をしたりという方法はインナーチャイルドワークと言いますが、実際にある方法です。

自分で自分を育てる。平たく言うと自己愛、自分を愛する方法ということかもしれません。

 

僕のところのカウンセリングも安全基地になれば、心理療法は自分を愛する方法として機能すればと思っています。

そういったカウンセリングや、心理療法の中で愛着障害も回復していけると思っています。

セルフハグ

 

僕も愛着障害だった

僕も愛着の記憶が無く、そういった環境で育った愛着障害者でした。

小中学生のころから落ち着きが無かったり、お金を盗んだりと変わった子どもではあったが、それが苦しんでいたからだと自覚できるようになったのは高校生のころからでした。

 

ビュービューと隙間風が吹いている。心に穴が空いている・・

地面から5ミリぐらい浮いている。浮遊感。

この世界にどこにも居場所がないという感覚。

ずっと、そんな体感に苦しんできました。

今考えれば、すべては親の愛情不足からくるものでした。

 

僕は長く臨床に生きてきた人間ですが、同時に愛着障害を抱えてきた一人の人間です。

そんな僕だからこそ、岡田先生の著書には深く共感するところです。

たくさんの人に読んで欲しい良書だと思います。

中には、この著書にあることを否定するような方もおられるかもしれませんが、そういう人たちは、不安障害や発達障害を抱えた人たちが、親子のこと、家庭環境のことを話して泣いているところを見てきていない人たちなのではと感じます。

 

赤ちゃんが生まれても共働きで、生後間もない時から保育園に子供を預け。

地域のコミュティーも希薄になり。

現代社会というのは、当たり前の子育てが難しくなってきているのかもしれません。

気付けば多くの人が寂しさを抱え、寂しいことが普通だと思って生きています。

すがるように携帯を触り、SNSで見ず知らずの誰かとつながる・・・

愛着、愛情、人の温もり・・人が生きていくうえで、それ以上に必要なものはないのかもしれません。

 

さまざまな生きる苦しさや、精神疾患の根っこにある愛着障害という苦しさ。

愛着の問題をなんとかしないと、そういった苦しさや精神疾患が根本から改善に向かうことは難しいでしょう。

できうるなら、このブログを読み、あるいは岡田先生の著書を読み、自分自身の愛着の問題に多くの人が気づいて、愛着障害から回復されることを切に願っています。

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