恋愛依存症は本当に病気なのか?
恋愛依存、ラブ・アディクションとも言いますが・・恋愛依存症は正確には病気ではありません。
依存症というものは、現在、アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症、この3つだけが依存症という病名がつきます。
この3つの依存症が脳の病気であるという根拠の一つが、ファンクショナルMRIという脳の血流を測る特殊なMRIがあるのですけど、依存症の人が依存物質や依存行動を見た時の反応を、ファンクショナルMRIを通して見ると、血流が脳の中心から外に広がっていくのが見えるのです。これが、依存症が脳の病気であるという根拠の一つになっているのです。
実は、恋愛依存の人の脳もまったく同じで、恋愛依存になっている人が、恋愛対象となっている人をみると、ファンクショナルMRIの画像上で、その他の依存症者と同じように脳の血流が広がりを見せるのです。
ですから「ファンクショナルMRIを根拠に依存症を脳の病気であるということはやめよう。それだと恋愛さえ病気になってしまうから・・」という意見もあったりするのですが・・。
僕としては「恋愛依存も病気である」「病的な恋もあるよ」という理解の方がスッキリしていいのではないかと思っています。
依存症者にとって依存物質の摂取や、依存行動をすると、同時にドーパミンという脳内物質が出る。そのドーパミンが出ることによって依存症という病気になっていくと言われています。
何も、ドーパミンが出るのは依存物質、依存行動だけでは無いのです。恋愛においてもドーパミンはドバドバ出るので、恋愛に依存していくのは当然かもしれません。
さて、MRI画像的にも、脳内物質的にも、ある種の恋愛は病気であると言えるのですが・・。
その行動を見てみたら、より分かりやすいのかなと思います。
恋愛や、恋愛対象の人を優先することで、自分自身を失ってしまうとか。
恋が成就されていればいいが、それが少しでもうまくいかないと、絶望して死にたくなったり、あるいは相手を憎んだり・・。
そういう言動をみると、やはり恋愛依存は病気なんだな・・と考えるのは当然かなと思います。
恋愛依存の解決策は「好きな人と距離をとる」とか「恋愛以外の趣味をつくる」という
「それが出来ないから、しんどい」と思うような解決策が並んでいるサイトが多くあります。
そこで、今回は恋愛依存症について説明していきたいと思います。
恋愛依存症は嗜癖(アディクション)の一つ
「嗜癖」は「しへき」と読みます。
聞きなれない言葉で頭に?マークが飛んでいる人もいるかと思いますが、
嗜癖とは
「ある行動が行為が習慣的になり,健康を利益を害するようになっても,とめられない状態」をさす。
引用:精神看護学[1] 精神看護の基礎 第5版 (系統看護学講座 専門分野)
つまり、嗜癖は行動の病気になります。
自分では、健康が害されても不利益を被ってもやめることが出来ない、その行動・行為をし続けることです。
そして、此処が最大のポイントですが、本人が「苦しい、やめたい」と思っているかどうかです。
アルコール依存症も嗜癖の一つですが、ほとんどの場合、当事者は何度かお酒をやめようと決意されていると思います。
「やめよう」と決意してるのに、なぜかいつの間にか飲んでしまっているのがアルコール依存症です。
意志の力ではやめることが難しい。
だから、「病気」であり、本人さんはとても苦しい状態に追い込まれます。
恋愛依存症も同じと言えます。
どんなに、「彼(彼女)がいない時間を充実させるために趣味を作る」とか
「友達との約束が優先だから、彼(彼女)からのお誘いは断る」と決めていても
趣味を作るために通い始めたお教室の時間に彼(彼女)からのお誘いがあれば、そちらを優先してしまうし、
友達の約束が優先って思っていて、彼(彼女)の誘いを断ったためにその友達にあたりまくり、
友達の約束をドタキャンしても彼(彼女)の誘いを断って友達の約束を優先しても、友情に亀裂を入れる結果になったり、、、、
どんなに「彼(彼女)以外」に目を向けようとしても「意志の力では難しい」のです。
恋愛依存症の原因
嗜癖行動の根っこには「心的外傷」つまり「トラウマ」があるとされています。
恋愛依存症も例外ではなく、心の奥底にトラウマを抱えています。
そのトラウマは小さなものから大きなものまで様々です。
下記に恋愛依存症の原因になるであろうトラウマの一例を上げておきます。
- 子供の頃、親が共働きで早くから保育園などに預けられた。
- 家が自営業で両親がずっと働いていた。
- 親が依存症でいつも家族が緊張していた。
- 親が大きな病気でいつ他界してもおかしくない状況だった。
- 家族の仲が悪く、いつも怒鳴り声が響いていた。
- 虐待(暴力・性的・ネグレクトなど)を受けていた。
- いじめられた。
- 性的暴行をうけた。
- 両親を突然うしなった。 など
多くの人が体験している内容から特殊な内容まで、そのトラウマの範囲は広いです。
上記の図は嗜癖のアイスバーグモデルになります。
色々な嗜癖がありますが、それらの根っこは見捨てられ不安になっています。
恋愛依存症においてもこの図が当てはまります。
トラウマのほとんどは幼少期の親との関係です。
虐待の有無ではなく、見捨てられ不安なので、
子供が「寂しい」「お母さん(お父さん)は、私より仕事が大事」などと感じていれば「見捨てられ不安」を感じていると言えると思います。
そんなちょっとしたこと、が、心の底にあり、
思春期で色々な人間との関係の中で、
そこに溜まっていた「見捨てられ不安」が形を変えて膨らんでくるのです。
その一つの形として、彼氏(彼女)に執着するのが、恋愛依存症になります。
恋愛依存症の克服
多くの恋愛依存症に関するサイトで、
「恋愛とは別に趣味を作る」などとありますが、
まずは、自分は恋愛依存症なんだと自覚することが必要です。
そして、出来れば、専門家に話を聞いてもらうのが一番良いのですが、
依存・嗜癖行動は良かった思い出が忘れられない状態です。
専門家ではなくてもよいので、話を聞いてくれる人に、彼(彼女)に対する感謝やどこが好きなのかなどの良かった思い出を話して下さい。
そうしていくことで、執着が少しずつ薄れていくでしょう。
恋愛依存の根っこには、親子関係があるので、親についての話をしていくことも大切です。
そういったことを、書き出していく、という作業もおすすめです。
ただ、書く作業は一つ間違えると余計に心が苦しくなる場合があります。
話をすることに比べて、書くという作業は自分と向き合うという意味合いが強くなります。
自分の心の奥底にある見捨てられ不安から目をそらしてきた結果の嗜癖行動ですから、
自分と向き合うと見たくない自分を知ることになります。
見たくない自分に触れた時、心が悲鳴を上げることも考えられるので覚悟を持って行う必要があります。
彼(彼女)と距離を取るというのはとても良い判断です。
ただ、アルコール依存症の方に対して、「お酒はダメですよ」と言って、やめることが出来るかというととても難しいです。
それと一緒で、「彼(彼女)から距離をとる」と言ってもとても難しいという事を知っておいてください。
出来ないから、意志が弱いというわけではないですよ。
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