精神病院は病気を治す場所ではない

4年前、僕が病院を辞めた時、僕の師匠の精神科医にも連絡を入れました。
すでに、師の先生は病院を辞めて、関東の有名な病院に行ってしまっていたので・・・

その時、病院を辞めたこと、カウンセラーになることは良いことだと仰っていただけました。
加えて「病院は病気を治すところじゃないからな」とも言われました。

その言葉にはいささかショックでしたが・・・
僕が病院を辞めた理由もそのためですし・・・。

「精神科病院は病気を治す場所ではない」

このことを悟るのに僕は20年もかかったのか・・そう思いましたね。
精神科・心療内科に勤務している人。あるいは、精神科・心療内科に通院している方々は僕の言っていることが分かるでしょう。

それ以外の、生きづらいとか、精神的に苦しくて・・良い心療内科を探しているという人は、「病院は病気を治すところじゃない」という言葉を見ていささかビックリしているかもしれませんね。

だって病気を治すのが医者で、病院であるというのは一般的には常識でしょうから。
風邪をひいたら病院に行きます。癌になったら病院に行きます。治してもらうためです。そういう感覚です。

そういう感覚は精神科・心療内科の病院、精神科医ならびに、そこで働く人たちにはないという話です。
しかも、それが常識としてあるという話です。
「回復させる」「回復する」という感覚を持った人は、精神科・心療内科にはほぼいないと僕は思っています。

僕が精神科勤務してきた20年間、精神疾患に対して「治します」とか「治ります」と言った医者は下総精神医療センターの平井医師しか見たことがありません。

ちなみに、公的な、広告・新聞、TV、雑誌などの媒体で「治る」とか「回復する」という言葉を使っていいのは「病院」や「医者」だけです。
僕みたいな医者でもない人間が公的な場所で「治る」とか言ったら詐欺に当たるんですよね(実際に治しているんですけどね・・)

病院は、治してくれる場所。医者は、治してくれる人。それは世間では常識なのです。
しかし、その常識は、こと精神科においては通用しないのですよね・・

精神病は慢性期疾患だから

先ほどの例だと、
風邪なら症状を抑えて、自然治癒もするでしょう。
癌なら、外科的な手術などを使って癌細胞を除去するという方法を使うことで回復するでしょう。

慢性期疾患、糖尿病とか、肝硬変とか・・そういう慢性期疾患を「治る」とは言わないですよね。
せいぜいが症状の進行を抑える、とかね。慢性期疾患は抑えつつ「共に生きる」という感じかと思います。

精神病も、まさに薬で症状を抑えつつ「病と共に生きる」という認識が、精神科で働く、医師、コメディカルの共通認識かと思いますが・・いかがでしょうか?

精神病院の歴史は統合失調症と共にある

なぜ、そんなことになったのか・・・。
いや・・最初から、ずっと、それこそが普通だったからです。

精神科で慢性期疾患の代表的なものが統合失調症という病気です。
精神科というものは、この統合失調という病気とともに歩んできた歴史だと僕は思っています。

統合失調症は、幻聴と幻覚を主症状とした病気です。あらゆる時代、様々な国籍、民族の違い、男女の違いもなく、100人に1人か2人の割合で発症する病気です。
古い時代、江戸時代とかであれば「狐憑き」だとか言われたり。
あるいは、蔵に畳をしいて「座敷牢」みたいにして、そこに閉じ込められて暮らしていたという暗い時代がありました。

統合失調症は、今では薬物療法で、人によっては症状をかなり緩和できるようになってきたのですが・・・
かつては、理解もされず、有効な治療もないため、統合失調の人は発症したら精神科に入院させられる、しかも一生・・・。そんな、時代が長らくありました。

精神科に家族が連れ行き・・家族:「一生面倒を見て下さい」病院:「任せて下さい」という時代が、そんな昔ではない・・最近まであったのです。

高齢の方になればなるほど、精神科=統合失調症、精神科に受診・入院したらお終い・・そんなイメージを持つ人が多いでしょう。
僕の知り合いなどでも、小さいころ「悪いことをしたら〇〇病院(精神科病院)に連れて行くよ」などと言われて育ってきた人も多いです。ええ、もちろん差別です。

そんな精神科が変わってきたのが、僕が精神科に入職した25年ほど前からだと思います。
その頃から、QOL(quality of life)=生命の質とか、normalization=障害を持った人と、健常な人が共に生きる社会をとか、そんな事が言われるようになって、いろいろ変わってきましたね。

精神科病院の鉄条網が取り除かれたり、それこそ何十年と入院生活をしてきた患者さんを退院促進するようになったり・・。
ここら辺は、厚労省からの圧力が結構あったように思います。

ちょっと面倒くさい話をすると、入院患者の病床数というのは、各自治体で何床というのが決まっていて、簡単に増やせたり減らしたりできないのです。
確か、全体の入院病床数の4分の1ぐらいが精神病床だったと思うので、精神病床を減らして、他の科に病床をまわすというような、社会的な流れがあったと思います。

その結果、退院促進は進んで・・今は、精神病床って減ったんですかね?よく分かんないですが・・・。
結局、減った病床・病棟が療養病床(認知症の方など)に変わっただけのように記憶しています。

そんな歴史的な流れはあったのですが・・結局、今も変わらず、多くの精神科病院で主に診ている疾患は統合失調症です。

おそらく、精神科の入院患者のほとんどは統合失調症の方だと思います。
これは、これからも変わり様がないでしょう。

だって100人に1人から2人は必ず発症する病だからです。
これは、決まっているのですから。日本人の人口が激減しない限り、変わらないでしょう。

という事で、昔も今も、変わらず、

精神科病院は統合失調症を診るところだと思います。

そして、統合失調症は薬物療法で、人によっては症状をかなり抑えれるようになりましたが・・慢性期疾患です。
慢性期疾患であるから「病気と共に生きる」という「生き方」とも言えるでしょう。

僕は、精神科病院で働く、医師、看護師などは統合失調症のスペシャリストだとは思いますが・・その他の疾患や、メンタルヘルスについては素人だと思っています。

それは、普段、統合失調症という病気とばかり付き合っているのですから・・仕方のないことだとは思います。
そのため、その他の疾患に対しても慢性期疾患、「共に生きる」というスタンスでいるのだろうな・・と思ったりします。

 

でも、僕も長らく精神科の病院で働いてきたものですので・・・
やはり、病院は病気を治すところであってほしいです。

遠くない未来、日本の精神科病院、心療内科が精神病を治してくれるところになってくれたら嬉しいですね・・・。
それが、僕の夢。悲願ではあるのですが・・・

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