以前、毒親について考えるの中で毒親についての見解を述べました。
「毒親」という言葉は、敵と味方に分ける考え方なので、僕は毒親っていう言葉は嫌いです。
光と影、善と悪のように、二元論で物事を割り切れたら、それはそれで楽なのでしょうが。
家族や、夫婦や、親子が、二元論で語れますか?難しいでしょうね。
加害者は被害者を産んで、被害者は次の加害者になるのです。
加害者だと思っていたら、次の瞬間には被害者になっているのです。
連綿と続く、家族間連鎖が、そこにあるのです。
みんな、みんな、苦しんでいるんですよ。
父も、母も、夫も、妻も、子供も、その孫も、みんな苦しんでいくのです。ということで、今回は共依存の話です。
憎しみと愛の連鎖が共依存
共依存・・これも、また、凄い言葉ですけど。家族問題を扱う時には、今は共依存という言葉は使わないのが一般的(精神科医療の中では)です。
しかし、やっぱり、僕は、共依存という言葉がピッタリくるので、今後も使っていきたいですね。
家族で、親子で、夫婦で、家族間連鎖です。
愛と憎しみの連鎖がそこにあるのです。
いいですか。憎しみだけなら、シンプルで分かりやすいですね。
縁を切ったら良いのです。別れたら良いのですから。
憎しみあって、殺し合うぐらいなら、別れたらいいんです。
「それでも、家族だから」「夫婦だから」「親子だから」と理由を並べて、別れられないから苦しむのです。
だから、これも依存なんですよ。
そこには、愛(これは愛ではないですが)、あえて愛と呼びましょう。
愛の呪縛のようなものがあるのです。
憎しみと愛の連鎖が共依存関係です。
今回も、分かりやすく、そのことを理解するために、例を出しましょう。
僕が出会った共依存の家族
その人は、ある依存症で、僕のところに来ました。
夫が依存症で、妻も付き添ってきました。
そして、僕はいつものように、これは連鎖ですから・・というような話をしました。
すると、妻の方が泣き出しまして。僕は、それを見て、
「奥さんのお父さんは依存症ですね?」と伝えました。
ビンゴですね。家族間連鎖です。
その妻は、僕にこう言いました。
「そうなんです。お父さんが・・。だから、私はそういう事をしない人を選んだつもりだったのに、結婚したら、それが全部嘘で。どうして、私は、こんな人を選んでしまったんでしょうか?」
因果な話ですね。
連鎖は続くよどこまでもです。
縦(子・孫)にも横(彼・彼女・友人)にもですね。
さて、そんなことは、今回の本筋ではなくて(汗)。
その後です。妻は夫(依存症)を責めるので、僕は、これもセオリーですが、このように言いました。
「まず、旦那さんの回復のために、スクラムを組みましょう。
旦那さん、奥さん、そして僕。同じ方向を向かなければ回復は難しいです。
奥さんも裏切られたという怒りはごもっともですが、一旦怒りは棚上げして、回復の為に怒らないようにしてもらって良いですか?」
ということを言って、妻に協力を依頼しました。
しかし、次の日、その妻から泣きながら電話があり、
「先生・・私・・今から、子供を連れて自殺しようと思います・・」
な、なんですと~(汗)。
でも、まあ、そんなもんかとも思いました。
僕の見立て間違いなので、あ~見立てが甘かったな~という感じでした。
なぜ、妻に夫を怒らないように伝えたら、妻は自殺を考えたか。
普通は、理解はできないかもしれません。
でも、僕は、分かるんですね。なぜなら、依存の専門家だからです。
依存症という病気は、ある行動が自分の意思でやめられなくなった状態を指しますが。
それを、無理にやめようとしたら、ものすごい苦しむのです。
妻がかかわりを改めると、苦しんで、自殺を考えた。やはり、共依存もまた依存ですね。
この訳のわからない共依存というものを理解して、治すことができないと、
苦しんでいる人たちの家族の再生はありえないんですね。
共依存はなぜできるのか?それは、ブログ「寂しいから誰かに依存して、いつの間にか共依存関係となるのです。」をご覧ください。
K’sセラピールームの感想文には、「家族が再生しました」と簡単に書いていますが、簡単じゃないですよ。家族の再生なんて・・。
→29歳 女性 苦しみ、生きづらさがなくなり、家族が再生しました
家族は良くも悪くも響き合っている
物事には順番があるのです。
もちろん、家族の共依存関係を治さなければいけないのですが、
例えば、苦しんでいる妻Aさん、高圧的な夫Bさん、怖がっている2人の子供Cちゃんがいるとします。
まず、僕のところに最初に来るのはAさんか、Cちゃんが多いでしょう。
そしたら、この家族を一気に治すのではなく、まずAさんやCちゃんが治ったらいいんです。変わったらいいんです。
だって、家族は良くも悪くも響きあっていますから。
家族間連鎖なのですから。
誰かが変われば、その影響で誰かが変わるんですよ。
僕は、変わりたいって手を上げた人から変わったらいいんじゃないかと思っています。
「ウチの旦那は~」とか「ウチの子は~」とか言う前に、まず、あなたが来たらいいんですよ。
あなたが変わったらいいんですよ。
そこからが、家族再生のスタートです。