寛解と回復
慢性期疾患の中で、寛解という言葉があります。
寛解とは、一時的に良くなった状態ということです。
精神疾患も、この慢性期疾患という分類に入るでしょう。
ですから、うつ病もパニック障害も寛解なのです。寛解は回復とは違います。
つまり、再燃するのです。
再燃とは、そのままですね。再び悪くなるということです。
嫌ですねぇ(汗)、寛解するまでに、1年~2年ですか、ジッと我慢して、「やった、治った」と思っても、また何かの拍子に再燃するのです。
依存症もそうです。
依存症の中では、少し言い方が違いまして、「回復はあるが、完治はしない」こういう言い方をします。
つまり、アルコール依存症の場合は、生涯、上手くお酒をコントロールしつつ飲むということはできないが、断酒=お酒をやめ続けることはできるという考え方です。
依存症における断酒継続している状態を、他の精神疾患における寛解であると考えれば、わかりやすいかなと思います。
そして、僕の目指しているところは、寛解ではありません。
回復です。依存症においては、完治です。
しかし、条件反射制御法を作った、平井先生も、「依存症が完治したら、理論上、飲酒コントロールができるようになる(アルコール依存症の場合)」と言っているが、なかなか難しそうみたいです(汗)。
ともあれ、依存症においては、生涯、欲求や衝動がゼロになることはないと言われていますから、条件反射制御法を使えば、欲求や衝動はゼロになりますよ。
というわけで、僕のできるところは、精神疾患(統合失調症以外の)においては寛解ではなく、回復です。
依存症においては、今のところ、断薬・断酒・断ギャンブルです(汗)。
寛解のその先
僕が目指しているところは、もっと根本的な問題を含めた回復です。
それを、普通の治療で寛解レベルになる時間より、おそらく5分の1ぐらいの短い時間でもっていくことができますよと言っているわけです。もちろん、再燃はありません。
開業してから、来る来る詐欺だなと思うぐらい、行く行くと言われて来ないんですよね(汗)。
あっ行く行く詐欺か(汗)。まあ、どっちでもいいんですけど(笑)。
それで、断る常套句が
「パニック障害があるんですけど。5年ぐらい治療してて。今だいぶ落ち着いているから、今はいいですー」
そうだよねー。ここまで時間かかったものねー(汗)。しんどくなったら来てねー。
逆に「しんどくて・・・いけないです・・・」
そうだよねー。しんどいものねー(汗)。落ち着いたら来てねー。
・・・いつ来るの(苦笑)。
話がそれましたが、ひきこもりは難しいですけど(汗)。
うつ病、パニック障害でも1年~2年刺激のない環境を作ることができれば、安定はします。
しかし、たとえ職場復帰ができたとしても、傷つきやすく、壊れやすい、職場の腫れ物のようになってしまいます。
それでも、よいと言えば、それまでですが(汗)。
「どうして私はこんなにダメなんだろー。弱いんだろー」
と思ってるんなら、それは、違いますよ。
弱い人間や、傷つきやすい人なんて、僕はいないと思っています。
いつも、依存症の話で申し訳ないですが、薬物依存症の中でこういった言葉があります。
「自分に、病気になった責任はないが、回復する責任はある」という言葉です。
良い言葉です。
要は、来るか、来ないかです。
やるか、やらないかです。
どれほど、優れた治療や薬でさえも、来なければ、やらなければ、飲まなければ効くことはありません。
一緒に、苦しみの根本、その浄化をしていきましょう。
寛解のその先は、どんな場所なのか。
抽象的で申し訳ありませんが、精神的な自由と幸福感ですかね。
人間ってそういう場所にすでにいる生き物なのかもしれません。それに気づけるようになるんでしょうね。
回復の目標
僕がクライエントの最終ゴールをどこに設定しているか、、、具体的に話をしていきたいと思います。
もちろん、心理療法のゴールはクライエントのそれぞれが抱えている苦しみが消えることであるし、どう生きるかはクライエントそれぞれが考えれば良いことではあるというのが大前提ですが。
僕が治療の最終ゴールと考えているのは2つです。
1つ目はクライエントがこの社会で生き生きと楽しく生きていけるようになることです。
これは、僕は依存症治療をずっとしてきた人間です。
アルコールでも、薬物でも依存症の人が回復していく中で、
「私はアルコール依存症でした。今は、アルコール依存症は治りましたが、でも、ギャンブル依存症です」
もしくは、
「私は薬物依存症でした。今は、薬物依存症は治りましたが、ひきこもりです」ということが、普通にあるのです。
こういうのを依存がスライドしたと言ったりします。
これらの状態を、僕は、症状が消えてよかったねとか、回復と呼びたくないのです。
それは、パニック障害やうつ病の人も同様で、パニック、うつは治ったけど、今、ひきこもりですというのは違うと考えています。
なので、最後まで治療したあかつきには、「今、生きていて幸せです」という風に回復してくれることを目標にしています。
2つ目は家族が幸せになることです。
これは、僕の父親はアルコール依存症のようなものです。母親は共依存です。
僕は機能不全家族で育ったAC(アダルトチルドレン)です。
だからこそ、家族の幸せを強く望んでいる人間です。
しかし、両親はもう80歳です。もう、変わることはないのだろうなと思っています。
一番、変わって欲しかった、家族の災禍の元凶のようなものは、もう変わらないんだろうなと思っています。
そして、それは、宿命なのだろうなと思っています。戒めかもしれません。
クライエントは変わります。変わりたいと言って、K’sセラピールームの治療を受けているのだから。しかし、家族は変わらないかもしれません。
いや、そんな生易しい表現では言い表せない、家族問題はもっと恐ろしいものです。
ここでは、家族の問題は簡単ではないとだけ言っておきます。
僕は
クライエントがこの社会で生き生きと楽しく生きていけるようになること、
そして、クライエントの家族が幸せになること、
この2つを目標にして心理療法を行っていることをお伝えしておきます。