底つき体験・どん底体験
「底つき体験」「どん底体験」とかいう言葉をごぞんじですか?
底をつかないと人は変われないという意味の言葉です。
健康、幸せ、仕事、家族、お金、信頼・・・。
人は何かを失わないと気づかないのでしょうか?
しかし、最近はそういった、底つき体験を待つというスタンスはよくないとされています。
それは、底がどこなのかは、個人差があるので。
依存症の病気の特性もあり、底つきを待っていたら、死んだり、警察に捕まったりしてしまうからです。
怖いですね(汗)。
取り返しのつかないものを失ってしまうのです。
そして、こういった考えは、他のメンタルヘルスの問題を抱えた人にも言える言葉ではないでしょうか?
生きづらさを抱えていても、うつ病、不安障害などのメンタルヘルスの問題を抱えていても、いろいろなものを失ってしまうものが多いと思います。
健康、幸せ、仕事、家族、お金、信頼・・・。
さて、最近来られるお客さんのほとんどが、精神科に通ってきたという人ばかりになってきています。
人によったら半年、人によったら20年ぐらいの人もいます。
年の頃は、30代から~40代がほとんどです。
そういう長年苦しんできた人は人生が有限であることを知っています。
沢山のものを失ってきたことを知っているからです。
そして、変わりたい、治したいという強い気持ちを持っているからです。
だから、そういう人たちは最後まで諦めずに治療をしてくれます。
素敵な人たちです。
尊敬すべき人たちです。
しかし、この人たちは多くのものを長年、失ってきた人たちです。だから、必死です。
しかし、そこまで失い続けていない人や、そこまでの思いがない人に対して、何ができるのか?
ただただ、底つきを待っていると、その人は、取り返しのつかないものを失ってしまうでしょう。
失う前に、なんとか。という思いは僕もあります。
たぶん、家族がそういった思いを強く持っていることが多いですが。
しかし、こればかりは難しいですね(汗)。
僕の意見を押し付けて怒られることもあるし、僕に対して不信感を抱く人もいます。
それでは、「底をつく前に回復して欲しい」という思いも台無しです(汗)。
一応、動機付け面接法(MI)とかCRAFTという治療動機を付けるテクニックも習っているので、頑張ってはいますが(汗)。
苦しみの繰り返しの中で、少しずつ失っていることに気づいて欲しいですね。
最も恐ろしい喪失
健康、幸せ、仕事、家族、お金、信頼・・・。
でも、本当に怖いのは、それらを失うことじゃありません。
もっとも恐ろしいのは、心を失ってしまうことです。
人の気持ちや、自分の感情を感じ取れなくなってしまっている人がいます。
そういう人たちだからこそ、治療動機をつけることが難しいのです。
自分の底つきも、周囲の底つきにも気づかないからです。
世の中には、感情も記憶もないって人がいるんですよ(汗)。
健康、幸せ、仕事、家族、お金、信頼。
そして、自分の心。多くを失う前に・・・・・・・とは思います。